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古川柳男色事情走書    南 ツカサ

其の六十二:口説くという事 其の二

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  前回に引き続き、今回も「口説くという事」をテーマに句を見ていきましょう。口説き方にもいろいろありますが、切羽詰まった御仁には、洒落た口説きや粋な口説きは出来ないようです。素直っちゃ素直、露骨と言えば露骨な口説き方になる模様です。

折れそうだからとは下卑た口説きよう

  何が「折れそう」なのかは一目瞭然ですね。固く屹立した男根を持て余して、「今にも折れそうだからやらせてくれ!」とは確かに品のない物言いです。言われた方としては「そんなの知ったことじゃない」と拒否したか、「そこまで言うなら…」と受け入れたかは、ちょっと謎です。でも、性欲処理のためだけに口説かれるのは、あまり良い気はしませんよね。

褌が破れそうだに承知せず

  こちらも似たような句。男根で褌がパンパンになっている状態を訴えても、相手にとってはしょせん他人事です。簡単に「ではお相手しましょう」とはならないのは当然ですよね。あっさりと拒否されてしまいました。性欲が昂っている攻めというのは、どうして直截的な口説き方をしてしまうのでしょうか。そういう時こそ、確実に口説き落とさないと辛いはずなんですけどね。

口説きやうこそ有らうのに手を合わせ

  こうなってくると見栄も外聞もありません。「お願いだ!やらせてくれ!」と手を合わせ拝み倒します。当人は必死なのでしょうが、傍からみると「馬鹿だなぁ」と冷ややかな目線になってしまいます。「あんなことしてまでやらせてもらいたいかね」という声も聞こえてきそうです。まあ、それで上手く口説ければ御の字。せいぜい拝んでお願いすることですね。

一番で堪忍しなと口を留め

  こちらは珍しく受けから口説かれたようです。そして攻めは「1回(一番)だけならやってもいいよ」と受け入れました。受けと違って攻めは男根をきっちりスタンバイさせないといけないですから、連続プレイは勘弁してくれということなんでしょう。口説いた受けとしては、まずまずの首尾です。後は自分の性技でどこまで相手を乗せるかの問題です。頑張ってください。

コラム「古川柳男色事情走書」著者プロフィール
南 ツカサ(みなみ・つかさ)  Twitter

古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。

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