「茶屋」とは、お客に茶菓を提供して休息させる喫茶店のような場所でしたが、その経営形態は様々に分岐し、本来の喫茶店のような茶屋から同席喫茶のような茶屋、果てはラブホテルのような茶屋と様々に分かれました。そんな茶屋での出来事を詠んだ句をご紹介します。
「いろは茶屋」とは、上野谷中にあった私娼窟のことを指します。出会い茶屋と呼ばれる茶屋が四十七軒あったそうです。基本は、女性の私娼(無許可の売春婦)が接客をしていましたが、上野といえば男色も盛んだった土地柄。私娼たちに紛れて、陰間も営業していたのではないか、と詠んだ句です。女性の私娼目当てに通うお坊さんも多かったようですが、お坊さんとくれば陰間も必要ですものね。
こちらは普通の茶屋での一コマ。「そらたばこ」とは、煙草を吸っている振り、という意味で、一見煙管を咥えて優雅に一服しているようですが、本心は恋のお相手を探すのに夢中なのです。
きっとお眼鏡に叶う男子が見つかったのでしょう。ちらりと視線を流すと、相手も見られていたのを気づいたのか、視線を返してきます。どうやら脈ありのようですね。
でも、視線を送り合うだけで、声をかけるでもなく距離を置いているのがじれったい状況ですが、恋の前段としてはこうして気持ちを高めていくものなのでしょう。
「水茶屋」は喫茶店のような茶屋のことです。先の句の続きとして読んでみましょうか。毎日、お互いに逢いたいと思う気持ちを抱いて、同じ茶屋に通ってきています。それでも、恋の進展はありません。水茶屋の主人も、最初は二人が偶然に出会っているものかと思っていましたが、どうやら想いはもっと熱いものだと気づいてきました。二人が店にやってくると、ニヤニヤして出迎えたかもしれません。
じれじれとした奥手な男子二人の恋の行く末はどうなったでしょう。どちらかが思い切って気持ちを打ち明け、無事待合茶屋(ラブホテル)で、結ばれる……というハッピーエンドであって欲しいものですね。
古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。