江戸時代に「四十八手」と呼ばれる交接の体位が定まりました。これは相撲の決まり手の四十八手から由来しているようです。こういうところに江戸っ子の洒落っ気を感じます。
では男色では、どんな体位が用いられていたか見ていきましょう。
芳町の陰間は男女ともに客を取りました。女性客のことはさておき、男性客の一番得意は和尚、すなわちお坊さんです。それを「背負う」のですから、後背位だったことがわかります。
男色交接の基本は後背位でした。正常位で行う際にも、まずは後ろから挿入しゆっくりと身体の向きを変えて正常位に持っていくのがよい、と文献にも残っています。最初から正常位だと、挿入がなかなか上手くいかず手こずるから、というのが理由だったようです。
また、「陰間に女を抱かせ、お客が陰間に挿入している」という春画も残っています。三人遊戯も行われていたんですね。
「茶臼取り」とは騎乗位のことです。この句の作者は「男性交接では騎乗位はやったことはない」と詠んでいます。が、本当にそうだったのでしょうか?
そんなことはありません。この「釜」は陰間のこと、「水こぼし」は射精することを指します。騎乗位での交接を楽しむ人もちゃんといました。
こちらは69です。「心中」とは、現代では情死などのことを指しますが、本来は「心の誠を見せること」を意味します。陰間に惚れこんだお坊さんが、その気持ちを表すために陰間の肛門を愛撫したのですね。
69のことを、江戸時代では「巴取り」と呼びました。これは「二つ巴」の紋を見ていただければ、一目瞭然の命名です。
ついでに口淫は「口取り」と言いました。「口にて精汁を吸い取る法なり」と女性向けの指南書に書かれていますが、男色交接でも行われていたであろうことは、充分想像出来ますね。愛し合う形に男女の差はありません。
古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。