男色交接のクライマックスは、肛門へ男根を挿入することにあります。肌を合わせ口を吸い身体をまさぐっても、最後の挿入がなければ画竜点睛を欠くというものでしょう。今回は肛門に関する句の紹介です。
一見普通のおうちのことを詠んだ句のように見えます。表門は人の出入りが激しいので開いていることが多く、裏門は家人しか使わないので戸締りをよくしておく、というような。ところがどっこい、そうはいかないのが古川柳。「表門」とは女陰、「裏門」とは肛門のことを指します。つまり、肛門の方が締まりがよい、とずばり言っている句なんです。
では、どんな肛門が好まれたのでしょうか。以前、男根に等級があると紹介しましたが(其の四:ペニス考参照)、肛門にも等級がありました。男根は十等級だったのに対し、肛門は上中下の三段階に分かれます。
まず上物は「お尻の肉付きがよく、ふっくらとしていて肌が柔らかく、襞が四十二あるもの」とされていました。通和散などの潤滑剤を使うと、滑らかになって挿入しやすかったそうです。確かに見ているだけで美味しそうなお尻ですよね。
中の位は、襞が三十八本のもの。上物に比べて、四本違うだけでランクが下がります。いちいち数えたんでしょうかね。でも、上物と比べてもさほど大きな差はないとされていたようです。
下のクラスになるとボロカスに言われます。「お尻に肉がなく、皮が厚く骨ばっている。襞もなければ潤いもなく、気持ちいいことは一つもない」。襞の数など、努力して増やせるものではないですから、そのように生まれてしまったらどうしようもないですよね。
一説によると、肛門ももっと細かくランク分けした人もいたようですが(十一ランクに分けていたそうです)、よほど多くの肛門を味わってきた人なのでしょう。人生いろいろ、肛門もいろいろ。
肛門を「菊門」とも称します。可憐な菊の花に喩えるのが雅ですね。そこから香る匂いは…良いと思う人にはたまらない匂いだったと思われます。
ここまでくれば解説は不要ですね。菊を愛でるのは和尚さんの楽しみの一つです。花開くまで大事にしてください。
古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。