「若衆」は「わかしゅ」とも「わかしゅう」とも読みますが、意味は同じです。男色交接における受けのことですね。受け全般のことを指すこともありますが、主に15歳~20歳の素人男性とイメージしてもらった方がいいかもしれません。(プロの陰間と区別するときには「地若衆」と表現することもありますが)
もてる男は女性のみならず男性にも惚れられるもの。さて、どんな様子だったのでしょうか。
「尻目」とは、目だけで後方を見ることで、「流し目」や「色目」と同じ意味合いです。はっきりと顔を向けて見るのではなく、目線だけで相手を見るというのが色っぽいとされていますね。
道を歩いていたら好みの男性とすれ違い、「お、なかなか好い男じゃねえか」とちらっと視線を送る。送られた方は、見られていることを充分に知りながらも何事もなかったように涼し気な顔で去って行く…なんて光景が浮かんできます。その後、二人が再会し、色事に発展したかは、神のみぞ知るというところですが。
相手が男性だけに「流し目」ではなく「尻目」という言葉を使っていることは言うまでもありません。
こちらはお坊さんが惚れちゃってますね。陰間茶屋に頻繁に出入りするような好色なお坊さんとは異なり、普段は品行方正な清くて純粋なお坊さんなのでしょう。それでも尻目をしてしまうとは、よほど素敵な若衆だったんでしょうね。どれほど修行を積んでも、煩悩と性欲はなかなか克服出来ないものです。
見てるだけでは飽き足らず、とうとう口説いてしまいました。しかし、若衆の方は「そんなつもりはないんだ…」と腰が引けているようです(当然ながら「尻込み」は、狙われているのが尻であることをかけています)。
熱っぽい視線を送られるのはやぶさかではないけれど、実際の行為を持ちかけられるのは抵抗があったのでしょう。いやはや、もてる男も大変ですね。
古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。