江戸時代でもすでに様々な体位で交接を楽しんでいたことは、其の五「体位の事」でもご紹介しました。交接は、ただ男根と菊門を結合させればいいというものではありません。気分を高めるためにも、様々な体位を試していたことがわかる句を見ていきましょう。
いわゆる「立ちバック」ですね。普段なら布団に横たわってやる交接を立ちながら行うのですから、慣れないと少し不安定かもしれません。「とんだ事」と言っているところを見ると、正式に抱き合ったのではなく、ふとした瞬間にムラムラっときて、狭い場所でコトに及んだのかもしれません。欲情は時と場所を選ばず襲ってくるものです。
「心棒」とは、男根のこと。「茶臼」は騎乗位のことですから、挿入したら受けが「上になりたい」とねだったという句ですね。正常位だと攻めのテンポで抜き差しされますが、騎乗位なら受けが自分に気持ち良いテンポで動くことが出来ます。自分のツボを知っている受けなら、騎乗位の方がお気に入りだったかもしれませんね。
「尋常にさせろ」は、正常位でやらせてくれ、という意です。これは攻めの台詞ですかね。あれやこれやとアクロバティックな体位をねだられて、頑張ってはみたものの、結局は正常位が一番だと気付いたのでしょう。。一周回って……というやつですね。凝った体位で交わると、攻めの足腰への負担もあったでしょうしね。
決まった相手との交接は、時にマンネリになるものです。体位を変えて、いつもと違う刺激を得るのも関係を長続きさせる秘訣かもしれません。わざと恥ずかしい恰好をさせて、その恥じらう様子に燃えるということもあるでしょう。でも、大切なのは受けと攻めの合意です。体位を変えて交わるというのは、そこに愛があるということを確かめること。無理強いはいけません。
古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。