「へのこ」が男根であることは、もう大丈夫でしょうか。
男子のアイデンティティでもある男根は、他人のモノがどのようなモノなのか比べずにはいられないようです。自分のモノだけを気にしていればいいと思うのですが……。
今回は、他人の男根を見て、どのような感想を抱いたかの句を紹介します。
これは堂々と「へのこくらべ」を開催した時の句ですね。「みんなで見せ合おうじゃないか」という話になったのでしょう。そこで1位(巻頭)になったのは「てんことり」の男根。「てんことり」とは、天井をこする、という意味で、天井まで届きそうに隆々とそそり立つ様を評価されたようです。
「ぞんの外」とは「思いの外」という意味です。
この上五(最初の五文字)が「ええ男」にかかるのか、「象の鼻」にかかるのかで意味が異なってきますが、ここは「象の鼻」にかかると読みましょう。「いい男だが、男根は思いの外象の鼻のようだ」という意ですね。
象の鼻は長く大きいですが、基本下を向いています。先の「てんことり」が高く評価されるのであれば、だらりと下がった男根は残念なものとされてしまうのは仕方ないでしょう。
かり高、すなわち亀頭部分が発達している男根は、交接の際に刺激を与えるには適した逸物です。しかし「藪の音」と評されているところを見ると、粋ではないとされてしまったようです。しかし、男根は交接している時に評価されるべきモノ。とすれば、立派な「かり高」を見て嫉妬した男が、難癖をつけている句とも考えられます。
「ちんぼこ」は、古川柳においては幼児の男根を指します。勇ましい江戸っ子と比べてたおやかな公卿は「一人前のモノ」を持っていないだろう、と馬鹿にしている句です。古川柳は高貴な方をこき下ろす傾向があります。
まあ、他人の男根を褒め称える句はほぼありません。自分の男根を卑下する句も見かけないです。ということは、少なからずみんな自分の逸物には自信をお持ちなのかもしれませんね。
古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。